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ギャラリーNで鑑賞した二人展「川村元紀と髙田裕大展」は参加作家がいずれも大学の先輩だったこともあり、制作における思考方法や造形感覚に共感できる点が多くあった。展覧会のテーマは家庭を持ちながら制作を続けること、最低限生きる上で必要とは言えない美術作品の制作とどう向き合うかという点にあるだろうと思われ、これもまた自分が抱えている問題と重なるところがあった。
コントロールしきれない人生を海流に揉まれるクラゲに例えて書かれた展覧会ステートメントにはユーモアがあり、また作家として飄々と制作をし続けることの強い意志を感じた。
ギャラリーに入り最初に目を引くのはピンクの長細い立体作品である。奇妙な形をしている。作家曰く歯ブラシなのだと、ギャラリーの方が教えてくれた。普通車になんとか入るくらいの大きさで、ギャラリーの前を通る小学生はガラス越しにそれを見てミミズだと言っていたらしい。子供が毎日の通学路で巨大なミミズと出会っている光景は、作品がもっともらしく批評されるよりずっと良い作品の需要の形だと思った。
子どもに響く作品であることは髙田さんにも共通している。庭のダンゴムシや動物園のペンギンが描かれた高田さんの絵は一見すると小学校の廊下や絵画教室の壁に飾ってある児童画のようである。仕事で培ったのであろう、測量技術によって描かれたイカの絵もあり、視覚的には先の作品と大差ないようにも思えるのだが、発揮されているのが仕事を通じて得た技術であることを踏まえると児童画的な作品とは対称的にも見えてくる。
生活もあるが制作もある、というか生活の中に制作をねじ込んでいる、作家の生態系がよく感じられる展覧会であり、同じく作家でもある自分としては、生活における様々な事象が制作のモチベーションへと否応なく流れていく様には励まされるものがあった。
展覧会のステートメントについて、生活に追われる中でなんとか制作をしようとする作家が海流とクラゲに例えられていると受け取っていたが、展覧会を見た後となっては海流とクラゲの関係は反転して捉えて然るべきなのではないかと思われた。
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